アナログ信号をデジタルデータに変換するアナログデジタルコンバータ(ADC)は、さまざまな電子機器で使われており、測定や制御の精度を左右する重要なデバイスである。中でも、高精度ADCの性能を十分に引き出すには、分解能やサンプリングレートといった仕様だけでなく、変換の仕組みや誤差、ノイズなどの基本特性を理解し、用途に適した方式や周辺回路を選ぶ必要がある。
本稿では、基礎編/上級編に分けて、高精度ADCの基礎から段階的に解説する。基礎編では、ADCの基本動作やサンプリング、量子化、主要な仕様を整理する。上級編のパート 1では、SAR ADCを取り上げ、変換原理や入力構成、ドライバ、RCフィルター、電圧レファレンスなどの設計上のポイントを解説する。上級編のパート 2では、シグマ・デルタADCの動作原理をはじめ、オーバーサンプリング、ノイズシェーピング、デジタルフィルターなど、高分解能を実現する仕組みと設計上のポイントを取り上げる。