現代の設計者が必要としているのは、部品情報だけではなく設計課題の解決である。Maximのリファレンスデザインは「最終製品にそのまま利用できるソリューション」と定義され、回路図、基板レイアウト、ソフトウェア、試験データ、評価ボードなど設計に必要な情報が一つのパッケージになっており、評価ボード以外はすべて無償提供される。多数の産業機器用デザインが用意されており、呼称には米国の地名が使われている。
Coronaと呼ばれるリファレンスデザインは、「絶縁型デジタル8入力レベル変換およびシリアライザ」で、PLCのデジタル入力モジュールのフロントエンドI/F回路である。産業機器のセンサーやスイッチの24Vのデジタル出力をシリアル変換し、その信号を絶縁してSPI/PmodでFPGA開発ボードやMCUと通信を行い、絶縁電源も備えていながら、わずか3種類のICで構成され外付け部品も最低限である。これは、システムを熟知しているICメーカーのエンジニアが、最適なICを選択して回路を構成するからである。このような優れたリファレンスデザインを利用することは、Time-to-marketの短縮に非常に有効である。