塗料や肥料、香料、農薬、製薬といった、われわれにとって身近なさまざまな化学製品。これらの開発、設計の現場で今、注目されているのが、熱力学的理論の1つである「COSMO-RS法」だ。COSMO-RS法は、量子化学計算で得られる分子の表面電荷情報と分子統計力学に基づき、さまざまな平衡熱力学を算出することを目的としている。
例えば、溶液に含まれる異なる分子、物質同士が混合するかどうか、反応するかどうかといった、自由エネルギー(溶液中の分子の化学ポテンシャル)の動きを予測するのに用いられる理論がCOSMO-RS法である。これにより、分子の溶解度や蒸気圧、活性などの物理的特性が決定されるのだ。
本コンテンツでは、COSMO-RS法の基本的な概念とともに、その理論の詳細について解説する。さらに、COSMO-RS法に基づく熱力学特性の予測プロセスの確度を高めつつ合理化し、化学製品の設計開発サイクルを加速することが期待されるソリューションと、そのユースケースも紹介するので参考にしてほしい。