1990年代に開発されたアーム型携帯式測定機と、その後間もなく登場したレーザートラッカーにより、産業界における検査方法は劇的に変化し、生産ライン現場で、かつ対象物に近い場所での検査が行えるようになった。一方で、生産設備で常に発生する振動やセットアップの難しさ、温度・湿度の変化、使用者の経験・技能のばらつきなど、測定精度に関わる課題もまだ少なくない。
そこで解決策として注目されているのが、光学式座標測定器(CMM)を使ったダイナミックレファレンシング(動的参照)だ。比較実験を行ったところ、振動のある環境では多関節アーム型と比べて高い優位性を持つことに加え、技術的な習熟度や測定時のセットアップが適切でない場合など、ヒューマンエラーの抑制においても有効性が確認されている。
本資料ではこうしたデータを基に、従来のアーム型3次元測定機とポータブル3Dスキャナーの違いを明らかにしている。新たな計測手段は、計測ラボにおける専門の計測エンジニアの不足や、アーム型で問題となる作業現場での3次元測定精度の低下などを解消し、製造プロセスにおけるDXを推進するためのゲームチェンジャーとなれるだろうか。