LTEや5Gといった用途で、高いデータレートの通信とスペクトル使用効率を可能にしたOFDM(直交周波数分割多重)変調方式は、テレコム技術を大きく進歩させた。複数のキャリア搬送波(サブキャリア)を並列に伝送するOFDMでは、伝送レートの高速化が得られる一方で、PAPR(ピーク対平均電力比)が増大することで、変調波形の信号ひずみが発生しやすい。これがビットエラー発生の原因になり、システム全体の性能低下の重大要因となりがちである。
本稿ではPAPRについて「それが何に由来するのか」「それによって送信信号系でのRFコンポーネントの最適化をどう考えるか」「どのようにしたらシグナルチェーンへの影響をなくせるか、あるいは軽減できるか」について解説する。