IoT(Internet of Things)機器や、電気自動車(EV)、精密機器、医療用機器などの多くの電子回路システムでは、システムの電源として正電圧とともに、反転対称となる負極性の電圧が使用されることが多い。ただ、LDO(低ドロップアウト)レギュレーターや、スイッチング方式の降圧/昇圧/昇降圧コンバーターなど主電源から正の電源電圧を生成するためのICは広く普及しており理解も広がっている一方、負の電源電圧を生成するための選択肢や、妥協すべき事項などはあまり知られていない。
本稿では、あまり文献では紹介されていない「負の電源電圧生成」に求められる要件や設計上の課題をはじめとして、そのソリューションを幾つかピックアップし、特長と合わせそれぞれの長所と短所を紹介する。