スイッチング方式であれ、リニア方式であれ、電源回路は高速過渡応答と安定性を確保するための十分なマージンを備えるように設計しなければならない。辛うじて安定しているような電源では、リップルや電圧、電流、熱ストレスの増加を招き、電源自体や重要な負荷デバイスを破損してしまうおそれもある。
実際の電源回路では、部品のばらつきやプリント基板の寄生要素が特性に多大な影響を及ぼすため、電源回路を構成し、実測により帰還ループのボーデ線図を取得して評価・微調整する作業が不可欠である。ボーデ線図は電源の帰還ループの帯域幅と安定性を確認する手段として使用され、帰還ループの特性の正確な定量化にも役立つ。
本稿では、帰還ループの安定性の評価には欠かせないナイキスト線図の安定判別法やボーデ線図の概念、重要性について解説する。続いて、実際に電源回路を構築し、帰還ループの安定性を最適に評価するための方法も紹介。ボーデ線図作成の測定環境やツールの例、ループ測定上で考慮すべき事柄についても解説しているので、実践に役立ててほしい。