GUI開発において多くの企業が抱えている課題の1つに複数OSへの対応がある。Windows、Mac、組み込みLinuxといったOSごとにGUIを開発する方法は、膨大な開発工数を要するだけでなく、動作確認も煩雑になる。特にGUI開発者がテレワークをしている場合には、ハードウェア製品の実機を自宅に置く必要があるようなケースも発生する。
電子楽器メーカーのローランドもこのような課題を抱えていた企業の1つだ。同社は伝統的に製品のGUI画面をカテゴリーや製品ごとにスクラッチ開発していたが、「開発担当者が限定される」「メンテナンスが属人化する」「機能追加・不具合修正時の工数負担が大きい」といった課題を抱えていたという。
この状況を変えるために同社が注目したのが、マルチプラットフォーム対応のGUI開発だ。同社はどのようにしてマルチプラットフォーム対応を実現し、それによりどのような成果を挙げたのか。実装確認に要する時間をどれだけ削減できたのかといった具体的な数字を交えつつ、同社の取り組みの詳細を解説する。