高分解能を求める計測システムでは、デジタル・フィルターの構造と応答を正しく理解することが不可欠である。特にΣΔ ADCにおいては、内部で用いられるsinc系フィルターの挙動を把握することが、設計品質と適切な性能の実現を左右する。
こうした背景を踏まえ、本稿は、アナログ・デバイセズのエンジニア石井聡の連載「一緒に学ぼう 石井聡の回路設計 Webラボ」の技術ノートで、ΣΔ ADCに用いられるsincフィルターの原理と、その周波数応答をLTspiceで解析する方法を解説する。
前編では平均化フィルターをLTspice上でシミュレーションし、その動作がsincフィルターと等価になることを確認。さらに後編では、この理解をもとに実際のΣΔ ADCが採用する sinc(CIC)フィルターを解析し、一見平均化フィルターとは異なる回路構成がz変換の展開により同等となる理由に言及。また、ディファレンシエータを用いたデシメーションでは折り返し成分が発生する点にも触れる。