近年の産業機器や車載システムでは、電源断後も機械位置を正確に把握し続けることが求められている。特にロボットやアクチュエータでは、位置喪失による再起動時の段取り、ダウンタイムや生産性低下が課題となる。一方で従来のバッテリーバックアップや機構的対策では、保守の負担や設計の複雑化といった問題があった。
本稿では、非給電時に複数回の回転情報を保持できない従来のセンサーの課題に対し、バッテリーレスで絶対回転位置を取得可能なマルチターンセンサー技術と設計手法を解説する。GMRとAMRを統合した1チップ構成により、非給電状態でもマルチターンの回転数を記録し、通電直後から絶対位置を取得可能とする仕組みを示す。さらに磁石の材料選定から温度特性、浮遊磁界対策、磁気リセットを含む実装手法までを整理し、高信頼な位置検出システム構築の指針を提示する。