製造業はどこも人材の課題に悩まされている。技能伝承や多能工化、リスキリングの実現に向けた第一歩として、人材の技術・知識・経験を把握するスキル管理の重要性が高まっている。だが、スキルマップ(力量管理表)は存在するもののISO 9001などの監査対応目的にとどまり管理が形骸化しているケースが多い。過大な工数を作成に費やしている一方で人材課題の解決、さらにはその先の事業価値向上や生産性・品質改善まで結び付けるのは困難な状況にある。
そこで取り組みたいのが、スキル管理の効率化とデータ利活用に向けたデジタル化・一元化だが、何から手を付ければよいのか分からないという企業も少なくない。最優先課題はスキルデータの基盤づくりだが、その実現には多くのハードルを乗り越える必要もあるだろう。
こうした課題を抱えていたあるプラントエンジニアリング企業では、部門ごとにExcelで運用されてきたスキル体系と運用体制の見直し・統合から取り組み、見事に監査対応の効率化に加え人材の中長期的育成と配置にむけたスキルデータの活用を実現した。同社が成功に至った秘訣は何だったのか、スキル管理の基礎知識とともに、改善策を紹介する。