世界的に自動車の電動化が進み、動力源となるバッテリーに求められる性能要件も、高性能、長寿命、省スペース化など、ますます厳しくなっている。特にバッテリー容量はEVの総走行可能距離に直結するため、これらの要件を満たしながら大容量化を図ることが、バッテリー性能の最重要指標となっている。
一方で、大容量化や高出力化はバッテリーの発熱を招き、ハウジングの変形などを引き起こす可能性がある。そのため、通気機構であるベントの設計と実装にも気を配らなければならない。EV用バッテリーに求められるベントには、高い通気性に加え、水やちりなどの侵入を防ぐ機能も欠かせない。このような相反する要求を同時に満たすベントは、現時点では限られている。
本資料では、EV用バッテリーパックのコンポーネントの中でも通気機構である「ベント」に着目し、メンブレン(高機能樹脂膜)を用いた高機能ベントがバッテリー性能の最大化に貢献する理由を解説している。このベントは、従来比3倍の高通気性、IPX7相当の防塵・防滴性能、出荷時の全数検査による高い信頼性を備えている点が大きな特長となっている。